Not So Berry Challenge
第4世代グレー ルールはこちら
銀之丞もすっかり海の男です。ただ、エイリアンなので日焼けが出来ないのが残念。本当の肌は青いので日焼けが出来ず、擬装の肌は何があっても変化しない仕様。いつまで経っても白い肌。残念。
いつの間にやら無料で飲むことが出来るようになっていました。おそらくアクティブ特質だから出現するコマンドなはず。ただし定かではない。
瞳孔ぱっちり、ガン決まり1歩手前。
副作用は特にありません。ご安心ください。非常に安全なエナジードリンクです。多分。
この瞬間、第4世代タスク【フィットネススキルをマスターする】【願望「ボディビルダー」の達成】の2つをクリアです。
昇進祝いのメッセージを父ちゃんが送ってきてくれたのですが、なんとシニアになっていました。もうそんなに時間が経っていたとは。時が過ぎるのがあまりにも早い。
お昼前後に少し時間があったので、いつもと違う場所でジョギングをして過ごすことにしました。
やって来たのはウィンデンバーグの「フォン・ホーント・エステート」
歴史ある邸宅と美しい庭があり、ジョギングコースにはもってこいです。
(あーあ、俺何やってんだろ。どんどん時間は過ぎていくのに、恋愛は失敗ばっかでさ。父ちゃんにも孫を見せてやんなきゃなのに、もうシニアになっちゃってた。やばい。はやく…はやくどうにかしなきゃ。)
「…こんにちは。もしかして、ここに書かれているミムジー婦人ですか?ここは本当に気持ちの良い場所ですね。」
ミムジーさんは「相手のことをもっと知る」を選択すると、自らの過去をいくつか明かしてくれます。
「正直に言いますと、母の導きなしにはベルナールを伴侶に選ぶことは無かったと思います。当時は恋愛結婚など一般的ではありませんでしたから、相手を選ぶという悩みをどう捉えるべきかわかりません。羨望でしょうか?哀れみでしょうか?」
「子供を授かることは長年の夢でした。しかしベルナールは子供を望みませんでした。彼は子供という存在が嫌いでした。ですから、お父上へ孫を見せてあげたいと焦る気持ちは痛いほどに理解できるつもりです。」
「愛とは時間をかけて育むものなのです。私は今、ベルナールを愛しているでしょうか?執着ではなく?少なくともお互いが唯一のものであることは確かです。それもひとつの愛ではないでしょうか。それに気がつくのに何百年の時が過ぎたでしょうか。」
果たして本当に会話が成立していたのかも定かではありません。消えることすら出来ず永遠に、この邸宅の地縛霊となったミムジーさん。彼女の独り言だったとしても不思議ではないはず。
けれど、焦りを理解してもらえる感覚は、少なからず銀之丞の救いになったでしょう。
ミムジーは何も言わず、どこかへ去ってしまいました。銀之丞は夢なのか現実なのかもわからないような、ぼんやりとした時間を過ごしました。
「まじで本当にいたんだよ、フォン・ホーントの幽霊。すげぇ優しいゴーストだった。」
「見間違いじゃねぇの?例のエイリアンの女とのことで疲れてんだろ。てかそんなことで俺たちのこと呼び出したのかよ。」
「どうせお前ら、俺が呼び出さなくてもカラオケに入り浸ってんだから良いだろ。」
銀之丞の歌唱力もキボくんと大差ないほどに上達して来ています。
「いや、わかってんだけど。わかってんだけどさ、なんかずっとフォン・ホーントのことが頭から離れねぇんだよな。」
「ミムジーさん、また俺の話聞いてくれますか?」
もはや銀之丞自身、どうしてこんなことをしているのかもわかっていないかもしれない。度重なった失恋と、父がシニアになったことへの焦り。それらが銀之丞の心を弱くさせ、フォン・ホーント・エステートの魅了の魔法にあてられてしまったのかも。
「私は貴方の気を紛らわすことは出来ますが、貴方の支えとなることは出来ません。私にはベルナールがいますし、この邸宅から離れることも出来ません。足があった頃に子供を望んでいましたが、今となってはそれも叶いません。」
「貴方は邸宅に惑わされただけです。私などではなく、他に相応しい者が必ずいるはずです。ですから、今日のことは一夜の魔法だったと忘れましょう。貴方は邸宅に魅了されるよりも、他にすべきことがあるはずです。大丈夫、貴方の心は強くあります。貴方なら出来ますよ。」
自分は平気だと思っていても、実は限界が近いことだってある。無理を無理だと気づけるうちに。銀之丞は現実に戻ってこれたけれど、皆が皆そうだとは限らない。
ということで、これで銀之丞の失恋カウンターは3。3つめはなんだかファンタジーな感じになったけれど、ひとまずこれで第4世代タスク【結婚前に3回の失恋を経験する】を達成。
次の恋が、どうか銀之丞の希望になりますように。
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